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石田 博/ISHIDA Hiroshi
Sommelier's Note~ソムリエのネタ帳

1969年東京出身。90年ホテルニューオータニ入社。尊敬する先輩に憧れ、ソムリエを志す。94年よりレストラン ラ・トゥール・ダルジャン配属、フランス伝統の料理とサービスを学び、ソムリエとしてのキャリアをスタート。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールでは第3位になるなど数々の賞を受賞し、日本でも屈指のソムリエとなる。04年ベージュ アラン・デュカス 東京へ移籍、2008年より同社総支配人就任。2011年2月よりレストラン アイ(神宮前)のシェフソムリエとして勤めるかたわら、ホテル日航東京(台場)、同豊橋(愛知)の顧問も務める。講演、執筆、コンサルティング、教育活動など幅広く活動する



ソムリエの視点。世界のワインシーン。④

世界地図を広げよう

一般にワインといえば、フランス、イタリアといったヨーロッパの産出国のものがイメージされます。日本ではそれが顕著にみられ、この二カ国だけで輸入の半分以上を占めます。

ホテルやレストランでは、フランス、イタリアなワインがワインリストのほとんどを占めています。これは、ワインに注力するレストランがフランス料理やイタリア料理ということに起因するのですが、それを抜いてもフランス傾倒は否めません。

 

ニューワールドと呼ばれるのは、主に大航海時代にヨーロッパからの入植によりブドウ畑が拓かれた国々。アメリカ、オーストラリア、チリなどがそうで、廉価なワイン(バルク)の供給元というイメージもあります。

もちろん、安いワインばかりではありません。1万円以上するワインも産出されています。しかし、「その値段出すなら、フランスがいい」という固定観念は根強いものです。

 

トゥールダルジャンやベージュ アラン・デュカス東京というフランス色の極めて強いレストランにいた私も(1994~2010年)、長いことフランス傾倒を続けてきました。

ニューワールドの過熟したフルーツフレーバーとアルコール感の強いワインは私には強過ぎましたし、料理と合うとは思えませんでした。

 

世界ソムリエコンクールの準備期間に先輩の中本さん(銀座 ロオジエ シェフソムリエ)にテイスティングのトレーニングをしてもらいました。中本さんが用意してくださったワインは1年半で500種を超えました。必死にブラインドテイスティングに臨みながらも、驚きを何度も覚えていました。

 

「品質が極めて高い。洗練されているし、酸味もしっかり感じられる。アルコール感も抑えがきいている。これはフランスの特級クラスのワインだ」と判断したワインが、ニューワールドのものであることがしばしばあったのです。その上、価格もリーゾナブル。

「ここまで、品質が上がっていたのか!!」

また、数年前から香港で開催される国際的なワインテイスティングイベントに参加していますが、そこでも同様の驚きが数多くありました。

 

日本は、世界中のワインとその郷土料理が楽しめるという、世界的にも類まれな特色をもっています。

また、フランス料理だけをみたとしても、現在は世界中の調理法、ソースや付け合わせ、スパイスやハーブなどを多彩に組み合わせ、多様性に富んだ料理を創り出しています。

 

飲み手、つまりお客様のテイストも変化しています。「海外旅行はフランスしかいかない」なんていう人はあまりいないでしょう。世界中の文化に触れているわけです。また、若い世代は、「ワインはフランスに限る」というような強いこだわりはあまり持っていません。

 

なにより、ソムリエとして、素晴らしい品質で、リーゾナブルな価格のワインを使わないのは、あまりにももったいないことです。

 

今年、6月に今橋シェフ、平瀬パティシエールとともに開業したフランス料理レストラン ローブ(東麻布)では、ワインリストの半分以上が、フランス以外の国のもので、毎月変わるコースメニューの料理ごとにワインを合わせる、ペアリングでは、フランスワインが出ないこともしばしばあります。

新メニュー案がシェフから出されると、頭の中で世界地図を広げます。

新たな国から最適なワインを見つけるのは、とても楽しいことで、これからも、この「世界旅行」を続けてゆきたいと思っています。

「カリフラワーと黒トリュフ」とハンガリーのフルミント

「鮟鱇とふだん草」と豪 マクラーレン・ヴェールのGSM(グルナッシュ、シラー、ムールヴェドル)

 

「尾崎牛とビーツ」にはソノマ、ロックパイルのジンファンデル

Restaurant L'aube


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