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石田 博/ISHIDA Hiroshi
Sommelier's Note~ソムリエのネタ帳

1969年東京出身。90年ホテルニューオータニ入社。尊敬する先輩に憧れ、ソムリエを志す。94年よりレストラン ラ・トゥール・ダルジャン配属、フランス伝統の料理とサービスを学び、ソムリエとしてのキャリアをスタート。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールでは第3位になるなど数々の賞を受賞し、日本でも屈指のソムリエとなる。04年ベージュ アラン・デュカス 東京へ移籍、2008年より同社総支配人就任。2011年2月よりレストラン アイ(神宮前)のシェフソムリエとして勤めるかたわら、ホテル日航東京(台場)、同豊橋(愛知)の顧問も務める。講演、執筆、コンサルティング、教育活動など幅広く活動する


日別アーカイブ: 2014年6月7日

南仏 アヴィニョン②

前回もお話ししたように、アヴィニョンはローマの影響を色濃く受けており、特に、14世紀にはローマ法王庁が移されたことにより、発展した街です。
そして、そのローマ法王(仏語でパプPapeといいます)の、「新しい城」という名がついた街が、シャトーヌフ・デュ・パプです。

城壁だけが残るシャトーヌフ

 

 

 

 

 

 

 

 

緑や、色とりどりの花、フルーツに囲まれたヴァントゥー(前回参照http://h-ishida.blog.openers.jp)から20kmも離れてはいませんが、風景ががらりと変わります。シャトーヌフ・デュ・パプは、土地が広大に開けていて、美しいというより、荘厳、厳しい感じと何より歴史を感じる町並みやシャトーが点在しているのが特徴です。散歩やドライブするのは、ヴァントゥーのほうがいい気がするのですが、観光客はこちらのほうが多く、ランチも広いレストランが一杯になっていました。歴史が人を呼び寄せるのでしょうか。

どこまでも続くブドウ畑

 

 

 

歴史を感じる橋

最近できたという川沿いのレストラン

これも古そうな城

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この土地のブドウ畑の特徴は、ゴロゴロとした大きな石(ガレとよびます)で覆われていることです。この石が太陽熱を蓄え、放射しているので、畑に降り立つと、ジリジリと熱さを感じます。ヴァントゥーとはずいぶん違います。

 

かの有名な土壌。「ガレ Galets」

放射熱がすごいです

開花を終え、結実するブドウの赤ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャトーヌフ・デュ・パプは、フランスでも最も古いブドウ畑のひとつで、芳醇で、濃厚な味わいの赤ワインは常に高い評価を受けてきました。日本では略して、「ヌフ・デュ・パプ」とか「ヌフ・パプ」という人が多いのですが、フランスでは、「シャトーヌフ」とみんな言います。

また近年(といってもここ15年くらいの話ですが)、国際的なジャーナリストに高く評価されていることにより、プレステージ、価格ともに高まりました。

クロ・デュ・パプは、その筆頭といえる作り手で、トップクラスのシャトーヌフを作り続けています。

シャトーヌフ筆頭 クロ・デュ・パプ

 

 

 

 

 

 

 

 

名字が「アヴリル=4月」

キレイに整理されたカーブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルゴーニュでの経験が長く、両親もブルギニヨンという、オーナーのヴァンサン・アヴリルさんは、

「シャトーヌフは力強さ、アルコール度数の高さが強調されがちだが、私が目指したいのは、バランスのよさとフィネス。アルコール感を感じさせない、成熟したワイン」と穏やかに話します。

「ワインは食卓で楽しんでほしい。1杯飲んだら、もう十分という力強いワインではない。だから、私はプレステージキュヴェを作らないんだ。クロ・デュ・パプのラベルは1つだけでいい。飲み手にとっても分かりやすさは大切だ。私に取ってはね。」

多くの作り手が、スタンダードのワインに加えて、特別なワインを造っているシャトーヌフのなかで希有な存在なのです。

そんな、アヴリル氏によるワインは、芳醇な味わいが口一杯に広がりつつも、常にやわらかみが、芳香豊か。アルコールの熱さやタンニンのざらつきや苦みが一切感じられない、大変心地よいワインです。このあとのことも忘れて、何度もうっかり飲み込んでしまうほどです。

古いヴィンテージを特別に

1995年(20年経っても)でもこの鮮やかな色合い!

 

 

 

 

 

 

 

 

感動したのは、アヴリル氏の気さくな人柄です。

「時間があまりないの?了解。さくさく進めよう」

「やっぱり、2007年も開けよう。すごくいい出来なんだ」

「1999年は、ブルゴーニュの特級みたいだってみんなに言われるんだ。あ、2003年のあとは、1995年を持ってこよう」

14本も!

出来栄えにご満悦のアヴリル氏

次々と開けてくれます

 

 

 

 

さらに取りに行って

デカンタに移して、次から次へ

 

 

 

 

「2003年もいい出来だ」と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同行してくれたコーディネーターのアルノーさんが時間を気にし始めると、

「アルノー、テイスティングには2時間必要だよ!」

世界的な作り手とは思えない、温厚な人柄とワインにすっかり魅了された訪問となりました。

 

「今度は日本でね」と。レストランアイでイベントの約束をしました

 

 

 

 

 

 

クロ・デュ・パプのワインはエノテカで輸入、販売をしています。

http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/list.php?special=RP&sort_key=point_a

次回は、シャトーヌフ最大の作り手、ヴィユー・テレグラフを訪問します。


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