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石田 博/ISHIDA Hiroshi
Sommelier's Note~ソムリエのネタ帳

1969年東京出身。90年ホテルニューオータニ入社。尊敬する先輩に憧れ、ソムリエを志す。94年よりレストラン ラ・トゥール・ダルジャン配属、フランス伝統の料理とサービスを学び、ソムリエとしてのキャリアをスタート。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールでは第3位になるなど数々の賞を受賞し、日本でも屈指のソムリエとなる。04年ベージュ アラン・デュカス 東京へ移籍、2008年より同社総支配人就任。2011年2月よりレストラン アイ(神宮前)のシェフソムリエとして勤めるかたわら、ホテル日航東京(台場)、同豊橋(愛知)の顧問も務める。講演、執筆、コンサルティング、教育活動など幅広く活動する



持込み

持ち込みとは、自身の持っているワイン、レストランに持ち込み、店の料理とともに、そのワインをサービスしてもらうことです。

理由は様々だと思います。

*記念や思い入れのある秘蔵ワインをレストランの料理とサービスで楽しみたい。

*古いワインなので、自分ではとても開けられない。

*せっかくワイン、料理の準備や片付けに追われず、ゆっくり味わいたい。

*あまりにもコレクションが増えて、家飲みでだけでは、とても消費できない。

*行きつけのレストランに満足ゆくワインがない。

*持ち込めば、ワイン代がうくのでやすくつく。

最後の二つはあまり嬉しい理由ではありませんが(笑)、こんなところでしょう。

さて、この「持ち込み」、店では歓迎されないことが多く、「お断り」の店も少なくありません。

理由は、

*ワインも店にとっては重要な売上なので、それを失うのは困る。

*ワインリストは店の魅力の一つなので、楽しんでいただきたい。

*料理と合わないワインでは、料理も楽しんでいただけなくなる。

*OKになると際限なく持ち込まれて、グラスを何十個も使うことになったりするのは困る。

といったところでしょう。

私もかつては反対派でした。当時勤めていたレストランが伝統と格式を重んじる所でしたから、店のルールとしてNOでした。

フランスやイタリアでは「持ち込み」という習慣はないと思います。

しかし、その持ち込みをポジティブなビジネスとして奨励されている国もあります。

オーストラリアとニュージーランドです。「BYO=Bring Your Own」と言って、持込みが手軽に出来るのです。大抵がワインショップが併設されたレストランで行われており、ショップで買ったワインを持ち込めるというシステムで、ワイン消費の拡大に一役かっていると聞きます。

 

この持込み、受けるか否かは、店の事情によって違ってきます。

席数の限られた店は毎日満席です。そこでワインを持ち込まれては売上に大きく響いてしまいますから切実なのです。

 

しかし全般的には以前よりも受け入れる店は増えてきたと思います。

ワインの価格が平均3、4千円であれば持込み料いただければ立派な売上になりますし、ワインのストックを持たずに収入が得られる、売れないワインが大量にあるよりはずっといい、という発想です。

私はというと、近年はポジティブです。前職では、大手ワインショップと組んで、ショップメンバーの方はそのショップで購入したワインは持込みOKにしましたし、

現在レストランアイでは、「事前に銘柄をお知らせください。そのワインに合わせたコースメニューをご用意します」とかなり積極的にやっています。もちろん、それなりのルールは決めさせていただいておりますが。

理由は三つあります。

一番は勉強やいい機会になることです。昨今、価格高騰から稀少なワインやオールドヴィンテージをレストランで取り揃えておくのは困難です。それらのワインはやはりサービスの勉強になります。私にとっても、若いスタッフにとって、大変よい機会になるからです。
もう一つの理由は、「ワインを楽しむ雰囲気」づくりになることです。

豪華なワインはやはりボトルやラベルにも風格があります。そんなワインがテーブルの置かれている風景は、レストランとしてよいものです。

最後は、高級ワインはテーブルクロスの上で、洗練された料理と、ソムリエのサービスで味わっていただきたいという願いです。

ワインはワインだけで飲むよりも、料理、サービス、そして飲む相手によって、格別なものになるからです。

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(番外)
持込みをする際のマナーについて、僭越ながら、

*事前に連絡をする。
*人数の半分くらい種類で留める。
*店のスタッフ勉強用に少量残しておく。
*持込み以外のワインも注文する。
*持込み以外でも店を利用する。

もちろん、たとえ上記がすべて守られなくても、お客様と店との信頼関係があることのほうが大切かもしれません。


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