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石田 博/ISHIDA Hiroshi
Sommelier's Note~ソムリエのネタ帳

1969年東京出身。90年ホテルニューオータニ入社。尊敬する先輩に憧れ、ソムリエを志す。94年よりレストラン ラ・トゥール・ダルジャン配属、フランス伝統の料理とサービスを学び、ソムリエとしてのキャリアをスタート。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールでは第3位になるなど数々の賞を受賞し、日本でも屈指のソムリエとなる。04年ベージュ アラン・デュカス 東京へ移籍、2008年より同社総支配人就任。2011年2月よりレストラン アイ(神宮前)のシェフソムリエとして勤めるかたわら、ホテル日航東京(台場)、同豊橋(愛知)の顧問も務める。講演、執筆、コンサルティング、教育活動など幅広く活動する


日別アーカイブ: 2013年4月30日

ワインツアー

ブドウ畑を巡る旅は素晴らしいもので、プロでなくとも多くの人たちが観光として、向学のためにと、出掛けています。

ワイン産地の観光吸引力というのは絶大で、例えばアメリカでは、カリフォルニアのナパヴァレーの来訪者数は、ハリウッドに匹敵するほどです。

今回は、より有意義な旅にするためにお勧めしたいことについてお話ししたいと思います。

先ずは、「やってしまいがち」な例を。

せっかくの国際線、機内食を二食を完食する、お酒も十分楽しむ。

ディナーはすべて星付きレストラン、美味しいパンを色々と試してみる。

朝食でも美味しいクロワッサンやパン・オ・ショコラを堪能。

現地での長い移動中に睡眠をとる。

旅行は個人の楽しみですから、否定するつもりは全くありませんが、これではワインツアーを存分に楽しむのは難しいかもしれません。
* * *

それでは私がワインツアーで実践しているお勧めの過ごし方について紹介します。

まずは時差対策です。

出発前日はあまり睡眠をとらないようにします。
離陸したら、早々にできるだけ長く眠ります。

到着に向けて眠気のある状態を避けるのです。

機内での飲み喰いは最小限にし、空腹での到着を目指します。

到着したら、ディナーでは少し無理をしてでもしっかり食べます。
その晩をぐっすり眠り、翌朝空腹でむかえないようにするためです。

朝食はパン一個にコーヒー、あとフルーツかヨーグルトまでにします。旅行では朝食も楽しみのひとつですが、時差を早めに調整して、昼夕を堪能できる胃の準備をするのです。

いよいよブドウ畑に出発です。

ここで大切なことは道中、車窓からみえる風景をよくみて、記憶に刻んでおきます。

 

 

 

 

 

これがワインへの理解を深める最初の一歩です。

季節がよければ、菜の花畑や、アーモンドの花が咲く丘がみえることもあります。

古い教会があったり、羊や牛の牧草地が広がっていたりします。

運転をしてくれてる現地の人に、
「ここはどこですか?」
「あれはなんですか?」
と質問攻めにします。

到着です。

まずはブドウ畑に案内してもらいます。

ブドウが「どのように栽培されているか」は、もちろんですが、畑の周りに何がみえるか、見渡してみます。

松林やオリーブの木に囲まれていたり、遠くに海がみえたり、雄大な山の絶壁が眼前に迫っていたりすることもあります。

桃や杏子の木があちらこちらに点在していることも、すぐ近くが港町なんてこともあります。

ブドウ畑の周りの環境、その土地の歴史、習慣や考え方、名産品を知ることが、ワインをより理解することに繋がるのです。

ワイナリー訪問を終えたら、地元の人が訪れるレストランやビストロで、郷土料理と、訪問したワイナリーのワインとの、本物のハーモニーを体験します。

店が決まってなかったら、ワイナリーの人に紹介してもらいます。

ワインと料理は、その土地の気候風土、文化、習慣、食事、人々との密接に繋がりが、個性となります。

フランス料理は伝統料理と郷土料理が基礎となっています。ワインとのハーモニーもそこに基礎があります。その基礎を本場で体験できるのは素晴らしいことです。

本物のブイヤベース!

トリュフ丸ごとパイ包み焼き!

マルシェでその土地の素材と旬を知ります

 

 

 

 

 

 

 

星付き有名店も魅力的ですが、1店舗ぐらいにしておきます。

高級店の料理はかなりアレンジが効いていて、郷土料理とは随分違い、地方性は薄れています。
また贅沢はたまに経験するから贅沢なわけですし、毎食高級店ではその良さも半減してしまいます。

著名なワイナリーを訪問するだけでも、十分有意義とはいえますが、

道中をすっかり眠ってしまい、醸造方法のレクチャーを受け、ワインテイスティングするだけであれば、日本に居てもできることをしているだけです。

道中の風景やブドウ畑の風景はウェブサイトには出てきません。

そこに行かないとできない体験することこそ、旅の醍醐味だと思うのです。

* * *

(番外ミニコラム)
以前ワイナリーの方から、あまり嬉しくない訪問者について聞いたことがあります。

*写真ばかり撮り、話しはあまり聞いていない。
*数字についての質問が多い。
*テイスティングしても感想を言ってくれない。
*他のワイナリーと比較する。

要はコミュニケーションなんですね。ワイナリーの人たちは仕事中の大切な時間を使って、我々を迎えてくれてるのですから、そこに敬意を持って振る舞い、「招かれざる客」にならないようにしたいですね。


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