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石田 博/ISHIDA Hiroshi
Sommelier's Note~ソムリエのネタ帳

1969年東京出身。90年ホテルニューオータニ入社。尊敬する先輩に憧れ、ソムリエを志す。94年よりレストラン ラ・トゥール・ダルジャン配属、フランス伝統の料理とサービスを学び、ソムリエとしてのキャリアをスタート。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールでは第3位になるなど数々の賞を受賞し、日本でも屈指のソムリエとなる。04年ベージュ アラン・デュカス 東京へ移籍、2008年より同社総支配人就任。2011年2月よりレストラン アイ(神宮前)のシェフソムリエとして勤めるかたわら、ホテル日航東京(台場)、同豊橋(愛知)の顧問も務める。講演、執筆、コンサルティング、教育活動など幅広く活動する


日別アーカイブ: 2013年3月6日

ソムリエコンクール

次回に引き続き、コンクールのお話をしたいと思います。
今回はファイナルステージです。
(日があいてしまいましたので、前回も合わせて、ご覧ください)

—–

 

ファイナルには3名が進みます。
準決勝出場者が満場のステージへ上がり、その場で発表されます。
公開ですから、観客で埋め尽くされた会場は多いに盛り上がります。

喜んでいられるのも束の間、すぐに決勝審査の順番のクジを引き、控え室へ。

10分もしないうちに、「1番目の方、お願いします」と、呼び出され、
盛大な拍手と歓声に後押しされながら、ステージに上がります。

ステージ上では田崎真也さんが待ち構えています。

ステージ両脇には審査員がズラリと席についてます。

小さな丸テーブルには外国人カップル、
もう一方、大きなテーブルには9名の一般の方らしき男女、
辰巳琢郎さんがその中に混じっています。

かなり、物々しい風景を見上げながら、選手は登壇します。

静まりかえると、
田崎さんが、

「それでは始めます。テイスティングです。

ワイン3種、その他の飲料加えて、計7種。時間は12分」
ブランドテイスティングです。

外観、香り、味わい、

総評(熟成ポテンシャル、サービス方法、料理など)、

そして結論(銘柄、ブドウ品種、ヴィンテージ)をすべてコメントします。

これもまた、よく知られた銘柄から、まず経験できないようなワインまで、出てきます。

一つ当たりにかけられる時間は4分もありません。

そのわずかな時間で、コメントをしつつも、正解を導くために、

感覚に加え、知識、経験

、記憶をフル回転させます。

前回、当てるのは目的ではないと言いましたが、

ファイナルでは当てると大きいです。

なにせ、ファイナル

に残るような強者たちですから、セオリーは外しません。

点差は付かないのです。なので、当てることにより、加算される数ポイントが

勝負を分けるともいえます。

続いて、

「このワインリストの間違いを訂正してください。時間は5分」

A4用紙には、ワインが10アイテム記されています。

スペルミス、ワイン名と原産地が合っていないもの、
そのワインがリリースされていないヴィンテージ、
その生産者は作っていないブランド、などなど、

世界中の有名無名のワインが並ぶ、罠が仕掛けられたリストなのです。

それを一つ一つ正してゆきます。

まだ続きます。

 

「(4名テーブル)常連のラファイエご夫妻が大切なご夫妻を相対されています。

ホストの意向を伺い、アペリティフのサービスを行ってください。時間は7分」

説明はこれだけです。質問しても、
「プロフェッショナルとして、レストランで行うようにやってください」としか言われません。

すべて自分で判断をして、最高のパフォーマンスをするしかないのです。

テーブルに近づき、
「Good evening, ladies & gentlemen」と始めます。

「アペリティフを、ゲスト(日本人二名)にはシャンパーニュ、

私達には、日本らしいカクテルを」と、

もちろん英語でオーダーされます。

カクテルの課題です。

即興で、日本らしい素材を使ったカクテルを製作します。
シャンパーニュも用意しなければいけません。
作業に没頭し、黙っててもいけません。
お客様に声をかけて、その場を和ませるのもソムリエの大切な使命だからです。

 

「続いて、料理とワインのハーモニーです。メニューはすでにご存知ですね。

一皿にワインを一種ずつ、すべて違う国のものを勧めてください。時間は5分」

事前に見せられていたメニューはエスニックあり、パスタあり、

フランス料理ありのフュージョンメニュー。難解です。

それぞれに相性のよいものを提案してゆくのですが、生産国がダブってはいけません。

バラエティ豊かにコーディネイトしてゆきます。

またそれぞれの相性がよいだけではいけません。計5種のワインの流れが

飲み手にとって心地よく、バランスのよい構成になるように配慮も必要なのです。

 

まだまだ続きます。

「こちらの(9名様の)テーブルに赤ワインをデカンタージュして、

サービスしてください。ホストは辰巳琢郎さんです。時間は7分です」

赤ワインを手に取り、確かめ、サービスに必要な器具、様々な種類のワイングラスと

カラフェから適性なものを選び、準備します。

さすが辰巳琢郎さん、アドリブでテンポよく、声をかけます。
このやり取りでは技術的なポイントはありませんが、上手く対応して、

大爆笑でもとれば、会場を味方につけられます。

そんなやり取りをしながらも、迅速かつ、正確に、サービスを続けます。

時間に余裕はないのです。時間切れは大減点ですから、避けなければいけません。

「終了です」

冷静な田崎さんの声が、減点を告げます。

「お疲れ様でした」

選手の降壇を大拍手が包みます。当の本人たちは、ぐったりです。

すべての審査が終わると、15分後に優勝者が発表されます。

こうして、あらたな日本最優秀ソムリエが誕生するのです。

このコンクールの公開決勝、誰でも観戦できます。

そして、最も大きなコンクール、世界最優秀ソムリエコンクールが、

18年ぶりに、東京で3月29日国際フォーラムで開催されます。

ソムリエのオリンピックです。
各国一名だけの代表で、
60カ国が参加するスケールの大きな大会です。

日本ソムリエ協会のHPから登録すると、どなたでも観戦ができます。
もちろん、日本からも有望なソムリエが参加します。

森 覚さんです。


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