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石田 博/ISHIDA Hiroshi
Sommelier's Note~ソムリエのネタ帳

1969年東京出身。90年ホテルニューオータニ入社。尊敬する先輩に憧れ、ソムリエを志す。94年よりレストラン ラ・トゥール・ダルジャン配属、フランス伝統の料理とサービスを学び、ソムリエとしてのキャリアをスタート。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールでは第3位になるなど数々の賞を受賞し、日本でも屈指のソムリエとなる。04年ベージュ アラン・デュカス 東京へ移籍、2008年より同社総支配人就任。2011年2月よりレストラン アイ(神宮前)のシェフソムリエとして勤めるかたわら、ホテル日航東京(台場)、同豊橋(愛知)の顧問も務める。講演、執筆、コンサルティング、教育活動など幅広く活動する


日別アーカイブ: 2012年12月7日

ワインは欠陥商品?

最近読んでいる本に、ある経営者が、
「ワインを商品と考えると欠陥商品なのではないか?」、
ということが書かれていました。

確かに商品は、常に一定の品質と
特性を保ってなければなりません。
去年は上出来だけど、今年は今ひとつ、
なんて商品はあり得ませんよね。

例えば、清涼飲料水にしろ、
ブランドもののバッグや時計、車にしても、
同じものなのにその時々で品質や特性が
違うなんてことがあれば、即クレーム。
返品やリコールが当たり前です。

ワインは飲料であると同時に、
ブランド品の特性を合わせ持つわけですから、
このアングルで考えると品質、個性が毎年違うというのは、
やはり欠陥商品なのではないでしょうか。

違うアングルからみてみましょう。
ワインはその土地の個性と生まれた年、
つまりヴィンテージの個性を反映させます。
これが他の飲料と違う大きな特性なのです。

土地はいうまでもなく自然のものですから、
移り変わってゆきます。
ブドウ畑を取り巻く環境、地勢、土壌など、
私たち人間には分からないほど少しずつ、ゆっくりと。

ヴィンテージはもっと顕著ですね。
「今年は昨年と全く同じに気象条件だった」
なんてことはありません。

人間(造り手)はさらに変わってゆきます。
世代交代はもちろん、資本が変わり、
違う会社になってしまうことも珍しくありません。
シャンパーニュやボルドーの有名ワイナリーの多くが、
金融、不動産、ブランドの傘下に入っています。
当然、売上やマーケットも含めて、方針転換が迫られます。

それらにより、ブドウ品種、栽培法、醸造法など変わることが
頻繁にあります。
いやむしろ毎年変わるといえるでしょう。

つまりワインは、その年、その時代を映し出しているのですから、
毎年同じなほうが、まさに不自然なのです。

ただ私はワインに対しては保守的なのかもしれません。
「ワインは工業製品じゃない。
手作りなんだから、品質が一定じゃないのは当然だ」と
敢然と言い放つ造り手のワインより、
安定感のある造り手によるワインのほうが好みではあります。


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