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石田 博/ISHIDA Hiroshi
Sommelier's Note~ソムリエのネタ帳

1969年東京出身。90年ホテルニューオータニ入社。尊敬する先輩に憧れ、ソムリエを志す。94年よりレストラン ラ・トゥール・ダルジャン配属、フランス伝統の料理とサービスを学び、ソムリエとしてのキャリアをスタート。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールでは第3位になるなど数々の賞を受賞し、日本でも屈指のソムリエとなる。04年ベージュ アラン・デュカス 東京へ移籍、2008年より同社総支配人就任。2011年2月よりレストラン アイ(神宮前)のシェフソムリエとして勤めるかたわら、ホテル日航東京(台場)、同豊橋(愛知)の顧問も務める。講演、執筆、コンサルティング、教育活動など幅広く活動する


日別アーカイブ: 2012年6月18日

ソムリエのルーツ

ソムリエのはじまり…

18世紀ごろ。王侯貴族の遠征時、特に大切な貨物車の責任者をエシャンソンとかエシャンソヌリと呼んでいました。その大切な荷物にはワインも含まれています。主は、食事の際にはエシャンソヌリを呼んで、こう言いつけます。

「おい、◯◯王から頂いたワインを持って来い」

「この間のイタリア遠征で持ち帰ったワインはまだあるか」

こんな具合だったのでしょう。

当時はワインは樽で運んでいましたから、カラフェにワインを移して食卓へ持っていったのもエシャンソヌリだったはずです。

「今晩のワインは何にしようか」

「◯◯の樽は随分時間が経っています。今晩は、そのワインをお召し上がりになられたほうがよろしいのでは」

ワインが交流のため、献上されることも頻繁な時代。

「今日は◯◯侯を招く会である。彼の国のワインはあるか」

そんなやり取りもあったのでしょう。

こうして、今日のソムリエの基礎が出来上がりました。

ここで大切なのは、エシャンソヌリの役割は、貯蔵してあるワインを適切な状態で保管することです。大切なワインにもしものことがあったら一大事。命懸けで番をしていたことでしょう。
そしてワインを買う(調達)のは彼らではなく、主であるということ。
「あのワインを買って欲しい」と頼むなんて、あり得なかった。食卓で、振舞われてるワインを語るのも主の役目でした。

彼らにとってワインは、主のもので、個人的な思い入れなど持ち込むなど夢にも思わなかったことでしょう。
そう、あくまでも彼らの使命は、荷物番なのです。

でも、中には活発な考えをもったエシャンソヌリもいたことでしょう。

「あぁ、いいワインだなぁ。どんな土地で、どんな人が作っているのだろう?」

「これはもう少し置いておいたほうがいいのにな」

「このワインは必ずよくなるから、もっと買っておいたらいいのに」

エシャンソヌリはソムリエへと進化しようとしていました。

フランス革命により、食事を提供する場は、宮廷からレストランへと変わりました。これはソムリエの発展の歴史上、大ニュースだったのです。

引き続き、ワインの購入は主(オーナー)の仕事でしたが、時が流れ、ワインはボトルで流通するようになり、銘柄が多様化、セレクトも複雑になるにつれ、専門的な知識が求められるようになります。
結果ワインの購入にソムリエが関わるようになったのです。

ソムリエのルーツは荷物番。稀少なワインを取り揃えることでも、詩的にワインを語ることでもないのです。


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